所長挨拶

教員は、生徒たちが人生の中でも特に大きく成長する時期に、その学びと成長を支える重要な役割を担っています。学校は知識や技能を身につける場であるだけでなく、多様な人々が出会い、共に学び、互いを理解しながら成長していく場でもあります。そのような場を支える教員には、専門的な知識や指導力に加え、一人ひとりの違いを尊重しながら、学びの場を支え、育んでいく姿勢が求められています。
慶應義塾には、明治初期以来、優れた教育者を育成してきた長い歴史があります。1982年に開設された教職課程センターは、日本で初めて「センター方式」を採用した組織の一つとされ、教職課程認定を受けている各学部・各研究科・通信教育課程を横断的につなぎながら、教員養成を支えてきました。現在も、各学部・研究科・通信教育課程との連携のもと、教職課程の運営や教育実習、履修指導などを通して、学生の皆さんの学びを支援しています。
慶應義塾の「半学半教」の理念は、教職課程においても大切にしたい考え方です。教える者も学び、学ぶ者もまた教える存在であるというこの理念は、教員を目指す学生にとって、自ら学び続ける姿勢の重要性を示しています。教員は知識を一方的に伝える存在ではありません。生徒たちとの関わりの中で学び続け、自らも成長していく存在です。また、学生時代の学びにおいても、授業や実習を通して知識を身につけるだけでなく、仲間との対話や協働を通じて互いに学び合う経験が重要になります。
近年、学校や社会を取り巻く環境は大きく変化しています。学校には多様な背景や経験をもつ生徒たちが集い、教員にはそうした多様性を尊重しながら学びを支えることが期待されています。学校は、多様な背景や経験をもつ人々が出会い、互いに影響を与えながら、学びの場を共に形づくっていく場所でもあります。そのためには、異なる考え方や立場に耳を傾け、対話を重ねながら関係を築いていく姿勢が欠かせません。教職課程における学びもまた、そのような経験の積み重ねであると考えています。大学という場で多様な仲間と学び合う経験は、将来学校現場で生徒たちと向き合う際の大切な基盤となるでしょう。
教職課程センターは、単に教員免許取得に必要な手続きを支援する組織ではありません。教職を志す皆さんが、自ら学び続ける力を身につけ、多様な人々と協働しながら成長していくための場でもあります。授業、教育実習、履修相談、進路に関する情報提供など、教職課程での学びを支えるさまざまな機会を活用しながら、自らの学びを振り返り、将来の教員としての姿を少しずつ形づくっていってほしいと思います。
教職への道のりの中では、履修や教育実習、進路選択など、さまざまな悩みや迷いに直面することもあるでしょう。そのようなときには、教職課程センターの教職員や事務スタッフにぜひ相談してください。私たちは、皆さん一人ひとりの学びと成長を支え、ともに考える存在でありたいと願っています。
教職課程センターが、教職を志す皆さんにとって、学び続ける喜びと、多様な人々と共に成長することの大切さを実感できる場となることを願っています。そして、その経験を通して、未来の学校や社会において、多くの人々の学びと成長を支える教員へと羽ばたいていかれることを期待しています。
教職課程センター所長 杉浦 淳吉(文学部教授)
2026年5月